風水とは何か|家に何かを置くだけではない「環境構築の体系」
風水とは何か。風水に興味を持ってくれている人の多くは、何かを置くことによって運を引き寄せる方法がある、くらいに思っているわけです。確かにそれで間違いではないんですが、全部でもありません。
結論から言います。風水とは、環境構築の体系です。
風水とは環境構築の体系。風と水は、空気と水のこと
風と水というのは、今の物理学の言葉に言い直すと、空気と水のことです。気体と液体、流体のことなんですね。
その空気と水の流れが、どうやって起こっているか。それは、固体の形、つまり大地の形によってある程度決まってきます。
大地の形の変わり方には2種類あります。一つは、天変地異で隆起したり沈んだりすること。もう一つは、風や水に削られて形が変わることです。こうして大地は今の形になっています。そして、高いところから低いところへ流れていくのは、固体でも液体でも気体でも同じです。
この環境の条件の中から、人が住む、定住するのにふさわしい場所、安全に暮らせる場所はどこなのか。そこが風水の出発点なわけです。風水とは、まず安全に暮らせる場所を探すことから始まったんですね。
風水は、住む場所の違いを蓄積してできた
大陸に住んでいた人は、もともと遊牧の生活をしていました。それが、米や小麦が作れると分かって、毎年計画的に食べ物を作れるんじゃないか、という発想になっていきます。その代わりに、移動しながらの生活を捨てて、一つのところに住み着くようになったわけです。
住み着いた人たちにとって大事になったのは、井戸を掘ったら水が出ることでした。なぜ「ここを掘れば水が湧く」と分かったのかは、私にも分かりません。古文書にもありません。ただ、いろいろな地形を観察して共通するところを見つけていくうちに、「こういう場所には水が湧く」という型が、だいたい想像できるようになったんです。
人は、飲める水が湧く所、流れている所の近くに住み着きます。だから高台を求めるわけです。人が増えると住み分けが起きて、高貴な人たちは高台に住み、貧しい人たちは水の流れる近くで田んぼや畑をやるようになりました。
そこから、どういう土地だとさらに高貴になり、どういう人が失脚したのか。どういう人が庶民から引き立てられて、どういう人がそのままだったのか。それを比べるようになったんですね。どこに住むと出世するのか、財が稼げるのか、知恵が湧く人になるのか。そういうことを、どんどん蓄積していったわけです。
なので、今私たちの手元に残っている風水の理論というのは、大地のどこに自分が陣取ったら、どんな社会的なメリットを得られるのか、というところが面白いわけなんです。
国づくりと、お墓の風水
定住する人が増えると、これ以上耕す土地がない、ということが起こってきます。食べ物が足りなくなって、隣の集落とぶつかる。争いが始まるわけです。
争いが起きるようになると、集落を塀で囲うようになります。これを国と言って、その中に王様が立ちます。負けやすい国、ずっと勝っている国の記録をどんどん取っていって、まちづくりの礎にしたわけです。
それから、負けると先祖の墓が荒らされます。だから、絶対に荒らされない場所、先祖が安らかに眠れる場所として、どこに墓を建てるかという、お墓の風水が始まりました。墓を荒らされるのが一番屈辱的で、あってはならないことだったんだと、私は推測しています。実際のところ、お墓が風水のど真ん中なんですね。「気は風に乗れば散じ、水に界(へだ)てられれば止まる」という言葉が出てくるのも、この頃です。
中国の歴代の皇帝がどこに陣取っていたかは、歴代の城を見たら分かります。ひと言で言うと、龍の恩恵を受ける場所です。そこに陣取ると、身分が上がっていくわけです。
陣取る場所を間違えると、デメリットが降りかかる
怖いのは、その逆です。陣取る場所を間違えると、メリットが得られないだけでなく、自分にデメリットが降りかかってきます。たとえばT字路の突き当たりの店は、結構な確率で20年以内に撤退しています。このことはT字路の突き当たりの土地は風水でなぜ避けるのかに書きました。
家は毎日の行動の母艦で、習慣のタネ
では、住む場所が毎日の暮らしにどう関わってくるのか。私は、運を作っているのは言葉だと考えています。言葉というのは、声だけではありません。頭の中に湧いてくる言葉、文字、表情、ジェスチャー、選択も含みます。言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は性格となります。そして住む場所というのは、毎日の行動の母艦とも言えるもの。つまり、習慣のタネなわけです。
たとえば玄関。玄関は、家の中から外に出ていく境界です。「よし、今日もやるぞ」と出ていくのと、「はぁ、めんどくせえ」と出ていくの、どっちがいいでしょうね。1日だけなら大差ありません。でも、毎日です。この習慣は、何かをスタートさせようとする時や、外の約束に出ていく時に、まったく同じものを作り出します。
せっかく夢に向かおうとする時に、住まいが障壁になっていることは、いくらでもあるんですよ。極端に言えば、マグロの漁師になりたいのに山に住む、木こりになりたいのに海辺に住む、というようなことです。
風水とは何かを置くことだけではない。先にハードを見る
では、家に何かを置く風水には意味がないのか。意味がないことはありません。ただ、その前に聞きたいことがあります。
ハードでは何かしていますか? 大地の上で不利になるところに陣取っていないか。建物は不利になるような状況になっていないか。形が悪いものは、置き物や家具では補えないんです。家を見る順番は、風水で家を見るなら、カーテンの色や玄関マットは最後の最後にまとめています。
「そう言われても、自分では分からない」。分からなくて当然です。世の中の風水を生業にしている人たちが、訳の分からないことばかり広めていますから。
本物を使うと、家は強力にあなたを守ってくれる拠点になります。外に向けて強力に攻めていける習慣を作ってくれるものにもなるわけです。
土地と建物で迷っているなら、風水師に相談する一択です。不動産屋も建築士も、その土地と建物があなたに合うかどうかは見ないからです。
